2011年10月17日

機械式時計の性能は永久に保たれるわけではない

時計好きなら、購入の際にデザインばかりでなくムーブメントの性能や機能も当然気になるはず。まず第一に重要なのは精度である。安定して高い精度が保たれなくては、正確な時刻表示も、クロノグラフの精密な計測機能も実現できないのは、言うまでもない。

時計の性能として表記されているのは、あくまでもメーカーから出荷され、販売される時点での性能を指し、使っているうちに経年変化が生じる。機械式ムーブメントの場合、最初のうちは、いわば慣らし運転の状態にあり、性能が安定しないこともある。また、歯車や脱進調速装置など、動く金属部品がたくさんあるので、使用しているうちに摩擦による摩耗、油の劣化や汚れなどで、性能はおのずと低下する。そのため、時計メーカーとしては、定期的にオーバーホールを受けるよう勧めるわけである。自動車の車検をイメージすれば、わかりやすいだろう。


内部のメンテナンスだけでなく、ケースやブレスレットの洗浄も定期的に行いたい
こうした機械式時計の仕組みをきちんと理解していて、メンテナンスを受ける愛好者なら問題ないが、実際は、調子が悪くなったり、故障してからアフターサービスセンターに持ち込まれるケースが多いという。日常使っていて、精度が目に見えて低下したり、機能に不具合が生じないかぎり、自発的にメンテナンスを受けようという気が起こらないのは、心情的によくわかる。だが、機械式時計は高度な精密機器であることを忘れてはならない。その価値をどれほど大切にするかは、すべてユーザー次第である。



メンテナンスを受ける前に知っておきたいこと
まず時計の取り扱い説明書を開いて、保証とアフターサービスの項目に目を通していただきたい。保証の対象外となるような乱暴かつ不正な使い方をする人はいないだろうが、それをわざわざ説明しているのは、先に述べたように、時計が高度な精密機器であるからだ。

しかし、どのような環境で、どれほどの頻度で時計を使うと性能に影響があるのかは、一概に言えない。一般的な機械式時計はもちろんだが、頑強なスポーツウォッチであっても、激しい衝撃や、極度の高温ないし低温、あるいは急激な温度変化、それから水圧、磁気など、ムーブメントに好ましくない外因には気を付けなくてはならない。

ちなみに防水性だが、パッキンの自然劣化やねじ込み式リューズの摩耗は、防水機能の低下を招く。本格ダイバーズウォッチの場合、潜水に使用する前に、所定の防水機能が維持されているかを検査するようにメーカーが勧めているのは、水中での故障や事故を未然に防ぐためだ。

メンテナンスを受ける前に、ネットのサイトを利用するなどして、アフターサービスの概要を知っておくと便利。一例として、ブライトリングのサイト「STUDIO BREITLING.com」が勧めだ。ここはスイス・ブライトリング社公認の正規メンテナンスサービスの拠点。機械式時計の仕組みや日常の手入れ、オーバーホールの実際などが懇切丁寧に紹介されていて、じつに内容が充実している。現場で時計と向き合う技術者たちのコラムも参考になる。

ブラントリングでは、メンテナンスの目安は3~4年毎を理想としているが、この期間は他のメーカーの場合もだいたい同じ。愛用の機械式時計が、購入から年月が経過しているなら、メンテナンスを真剣に考えるべきだろう。たしかに、ある程度の費用は覚悟しなくてはならないが。





Posted by Romega at 18:43│Comments(0)
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