2011年11月01日

最も複雑かつ高度なスプリットセコンド?クロノグラフ


通常のクロノグラフの場合、計測用の秒針は1本しかなく、計測の対象も一つに限られる。スプリットセコンド?クロノグラフの特徴は、計測用の秒針を2本備えていること。それによって複数の対象の経過時間を計測したり、あるいは、一つの対象の中間タイム(スプリットタイム)を連続的に計測することができる。

スプリットセコンド?クロノグラフの原型は、19世紀前半の懐中時計にまで遡り、20世紀前半になって腕時計にも組み込まれるようになった。クロノグラフの中で最上位の高度な技術ゆえ、トゥールビヨン、パーペチュアルカレンダー、ミニッツリピーターとともに、「4大コンプリケ-ション」に数えられることもある。

すでに述べたように、スプリットセコンド?クロノグラフには、クロノグラフ秒針とスプリット秒針の2本があり、興味深いのがそれらの独特な動きだ。

まず、スタート/ストップボタンを押すとクロノグラフ秒針とスプリット秒針が同時にスタート。両者は重なっていて、1本の針が動いているように見える。スプリットセコンド機能用のボタンを押すと、スプリット秒針のみが停止して中間タイムが読み取れる。この間もクロノグラフ秒針は動き続けるので、2本の計測用秒針が割れる(つまりスプリット)。

さらに、ボタンを押すと、スプリット秒針がクロノグラフ秒針へとジャンプして追いつき、再び一緒に動き続ける。スプリット秒針が、クロノグラフ秒針の経過時間を、メカニズムが「記憶」しているわけである。この「追いつく」動作をフランス語で「ラトラパント」と呼び、機能名や商品名によく用いられている。

スプリットセコンド?クロノグラフも、フライバック?クロノグラフと同様に製品数は非常に少ないが、最近になって、比較的近づきやすい価格のモデルも登場してきた。メカ好きの時計ファンなら、自分自身で実際に操作して、その精巧な機構をじっくり堪能したいクロノグラフだろう。



Posted by Romega at 18:54│Comments(0)
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